登場人物

映画『この道』は実在した人物の半生を描いた作品ですが、演じている役者さんが、本当にイメージにぴったり!すべての登場人物を紹介したいところですが、それでは映画を見る楽しみが半減してしまうので、ここでは、主要な登場人物のみ紹介します! 

■北原 白秋(大森 南朋) 

詩人としては、早くから注目を集め、天才詩人と高い評価を受けていた白秋ですが、私生活は大の酒好きであり女好きで、酒に溺れ、人妻には手を出し、結婚と離婚を繰り返すなど、乱れ切っていました。これでは、周りの人たちにさぞ疎まれていたのではと思いきや、その純粋で屈託のない笑顔は、周囲を自然と笑顔にする不思議な魅力がありました。そんな愛嬌の良さから周囲の人々に愛される白秋が、自分とは正反対の音楽家 山田 耕筰との出会いにより、ぶつかりながらもその才能をさらに開花させていきます。 

■山田 耕筰(AKIRA) 

作曲家であり、指揮者である山田 耕筰は、日本語を大切にした心に残る数多くの作品を残しました。また、日本発の管弦楽団を作るなど西洋音楽の普及に尽力した人物としても知られています。映画『この道』の中では、ドイツ帰りのインテリ音楽家として、白秋とことあるごとにぶつかりあっていましたが、耕筰の日本や音楽に対する想いとその類まれなる音楽の才能を目の当たりにすることで少しずつ認め合い友情を育んでいく姿は必見です。 

■菊子(貫地谷しほり) 

白秋の3度目の結婚相手である菊子。白秋との間には、二人の子供が誕生しました。この頃の白秋は、3度目の結婚ということもあり、とても子煩悩で、自身の子供だけではなく、近所の子どもたちも集めて庭先で遊んでいるほどでした。そんな幸せを白秋が感じている中、菊子は、結婚当初から連日の締め切りに追われる白秋のお世話や泊まり込む編集者への接待などさまざまなところで白秋を陰ながら支えていました。白秋が晩年幸せに暮らしていたのは菊子の存在なしでは語れません。 

■松下 俊子(松本 若菜) 

良くも悪くも白秋の人生に大きな影響を与えた白秋一人目の妻である俊子。俊子は白秋の隣の家に住む人妻で、新聞記者である夫と女の子の赤ちゃんまでいましたが、不倫関係にありました。そんな不倫関係は当然長くは続かず、夫にばれてしまい白秋と俊子は姦通罪で逮捕されることに…。そんな2人はその後結婚しますが、結婚生活は14カ月ほど。破天荒な白秋に負けず劣らず破天荒な俊子。結婚生活は残念な結末となりましたが、その生活と経験は白秋の作品に強い影響を与えたと言えます。 

■与謝野 鉄幹(松重 豊)・与謝野 晶子(羽田 美智子)夫妻 

与謝野鉄幹・晶子夫妻は、ともに歌人であり、当時の文壇でも影響力のある人物でした。白秋がさまざまな著名人と交流をもち、文壇で活躍できたのも、そんな彼らのバックアップがあったからこそと言っても過言ではありません。また、映画『この道』の中では、居酒屋で耕筰を罵倒する白秋に対して、晶子が「怖かったんでしょ?」と本心を言い当てるシーンがあり、白秋と耕筰のコンビ結成に深くかかわっている人物と言えます。